保険医・公費負担

  • 2015年10月2日 12:49 PM

日本の保険制度について

わが国では1961年から、すべての国民がいずれかの医療保険に加入することを義務付けられ、いわゆる「国民皆保険制度」が実施されました。これにより所得に見合った保険料を支払うことで「誰でも、いつでも、どこでも、質の高い医療を受けることができる」ようになりました。

わが国が世界一の長寿国になり、乳児死亡率も世界一低くなったのもこの制度が大きく貢献したと考えれています。高齢社会になり主に医療経済的な面からですが医療保険制度が話題になることも多くなりました。子どもたちの未来に関係するこの保険制度の理解のために以下主なものを説明します。

・医療保険制度

医療保険には政府管掌健康保険、 組合管掌健康保険、共済組合保険、 国民健康保険、他に船員を対象とした船員保険があり、国民はこのどれかに加入しています。皆様の家族はどれに加入しているかご存じですか?

・保険診療について

医療保険を用いて医療が行われる場合を「保険診療」と言います。保険診療は保険医の登録を受けた医師による保険医療機関での診療が対象となります。

保険診療は法に基づく一定の約束にしたがっておこなわれます。保険で認められていない検査をしたり薬を使用したりすることは保険診療ではできません。この場合医療に必要な費用の全額が個人負担となります。これを「自費診療」と言います。自費診療のみで行われることは認められますが、可能なものは保険診療で行なわれ、保険で認められていない医療費のみを自費診療で行うことは「混合診療」の範疇に入り、許可された特殊なもの以外は混合診療を行うことは現在認められていません。

健康診断、予防注射、正常妊娠、正常分娩、美容医療などは保険診療の対象とはなりません。

・診療費について

保険診療による医療行為は政府が決めた診療報酬点数(薬を除く全ての医療費を点数化したもの)や薬価基準(薬の値段の基準)に基づいて点数(料金)が計算されます。

受診者の一部負担金は平成15年4月から、どの保険も本人3割、家族3割(ただし、3歳未満は2割)になりました。

(老人については省略)

・子どもと医療保険制度について

全ての診療行為が点数化されていますが、大人と異なり子どもの診療には人手と時間がかかります。このようなことを点数化するのは難しいこともあります。また、子どもの病気に関しては特に生活上の注意点などの治療上必要な指導も大きな比重を占めています。そのような診療を評価するために、乳幼児の場合は特別な点数になっていたり、乳幼児には別に点数が加算されたり、指導管理料として小児医療の特性が評価されるようになってきました。

このように医療費は検査、注射、薬など形のあるものだけに支払われるものではないこともご理解いただきたく思います。

皆さんも診療費支払いに際し内容に疑問があればお尋ねいただき納得できる説明を受けてください。 また、健康保険組合によっては独自に自己負担分の補助をしているところもあります。

平成16年4月に保険点数の改定がありました。小児の診療の特性が評価されて改定された点をお示しします。

1. 専門的な小児入院医療の評価

小児入院医療管理料の算定の要件が緩和されました。 新生児入院医療管理加算が引き上げられました。

2. 小児に対する時間外診療体制の評価、 小児の外来の時間外加算の評価の見直し

6歳未満の乳幼児を診察する場合は、通常に設定された診療時間であっても時間外加算などが算定できるようになりました。

3.  地.域連携小児夜間・休日診療料の算定要件の見直し

前述したように小児の診療の特性が理解され保険点数の上で評価されました。

 

小児の健全な成長のため、健康を維持し、疾病を早期に十分治療するための診療に高い評価が与えられることはそれだけ子どもが重視されることになったこと で喜ばしいことと考えます。

もちろん、子どもたちの病気の治療に大きな経済的負担がかかることは好ましいことではありません子どもを尊重する政策を行い公費負担制度を拡充し医療費の自己負担をできる限り少なくするようにすべきものと考えています。

経済の動向により医療保険制度も変わってきます。子どもたちの健康が守られるような制度の充実を求めて関心を持って見ていただくことが大切と考えます。今後も小児の診療に厚生労働省がどのような評価を与えるのかをしっかりと見守ってください。

 

医療費の公費負担制度について

いわゆる難病と言われる疾患、慢性疾患、障害に対し医療費の自己負担を軽くするために医療保険による自己負担分を公費で補助する「公費負担」制度があります。

この制度を利用するには指定された医療機関で自治体が認めた(依頼した)医師の診断に基づく必要のあるものもあります。この制度についての詳しいことは医療機関から情報の提供がありますので、正しく理解して申請をしてください。

他の公費負担制度を利用されている場合は該当とならないこともあります。

ここでは小児に関する制度の主なものについて説明します。

・小児に限られない制度

1. 結核予防法による公費負担。

2. 特定疾患医療給付事業。

重症筋無力症、再生不良性貧血、皮膚筋炎、全身性エリテマトーデスなど決められた49の病気が対象となります。1998年4月以前は自己負担はありませんでしたが、2003年9月から制度が変更され、所得制限や病状の軽重で指定は受けても給付が受けられなかったり、助成が異なるようになりました。

国の経済上、止むを得ない面はありますが、福祉の後退は残念なことで今後とも推移を見ていくことが必要と考えます。

3.先天性血液凝固因子障害等治療研究事業

血友病A、血友病Bなど生まれつき出血しやすいあるいは出血したら血が止まりにくい病気と血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症(エイズ)が対象となります。

4.感染症法

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で定められた病気の中で決められたものが 公費で負担されます。話題のSARSはその一例です。

5.予防接種健康被害救済制度

予防接種法及び結核予防法による予防接種(定期の3種混合、麻しん、風しん日本脳炎、2種混合ワクチン接種)により健康被害を受けた場合の法的救済措置として設けられています。

・小児に限られる制度

各制度は年齢、疾患により給付の条件、給付率、給付の仕方が異なりますが、詳細は省略し主な制度を列記します。

1. こども医療費助成制度

県内の市町村でそれぞれ給付率、給付の条件が異なります。

詳しくは愛知県内のこども医療費助成の状況のページをご覧ください。

愛知県小児科医会では全県下、所得制限無しで最低でも就学前を対象とすることを求めています。

経済的にも苦しい世代で病気になりやすい子どもを育てている家庭にとっては医療費公費負担は子育て支援、福祉としても必要なものと考えています。

2. ひとり親家庭医療費助成制度

3.小児慢性特定疾患治療研究事業(上段の 2.特定疾患医療給付事業 も参照)

悪性新生物、慢性腎疾患、ぜんそく、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病先天性代謝異常、血友病等血液疾患、神経・筋疾患のなかで指定された疾患を対象としています。入院、外来で助成に違いがある疾患もあります。 詳しくは、ホ-ムペ-ジのここを参照して下さい。

名古屋市、豊橋市では少し拡大して運用されています。

4.未熟児の養育医療

出生時体重2,000g以下または生活力が特に薄弱であって、きめられた病状を示すものに対して給付されます。

5.結核児童の養育給付

6.その他

疾病に対する助成ではありませんが、先天性代謝異常等検査事業、B型肝炎母子感染防止対策なども公費負担で行い早期発見、早期治療を目指しています。

指定医療機関では該当する場合はこのような制度の情報提供をしていますので、お尋ね下さい。

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