予防接種について

  • 2015年10月2日 12:48 PM

予防接種について

[1]予防接種はなぜ必要でしょうか

嫌がる子どもを予防接種に連れてゆくのは大変なことです。それでも、予防接種を行うのは二つの意味があるからです。一つは多くの人々が接種を行うことによって、周辺での感染症の流行を防ぐことができるからです。世界的規模での成果としては、種痘の接種を普及させるWHOのプロジェクトで、人類を悩ませ続けてきた痘瘡(天然痘)を1980年に地球上から撲滅できたということがあります。もう一つの意味は、接種した本人がその感染症に対する免疫(抵抗力)を獲得して、病気にかからないかまたは軽くすむことができるということです。
予防接種をしなくても、感染症は自然にかかって免疫をつけた方がいいのではと考える人がいます。しかし、通常は軽いと思われている感染症でも、ときには重い合併症を起こすことがあります。感染症はできるだけ予防接種で予防することが望ましいと考えます。
ワクチンで防げる病気のことをVPDVaccine Preventable Diseases)と呼ばれています。 防げる病気だけでも予防して、大切な子どもたちの命を守りましょう。

[2] 予防接種にはどんなものがありますか

予防接種は病原体を弱く変化させるか、またはその一部を取り出して害にならないものにして、それらを身体に接種して免疫を獲得しようとするものです。身体に接種するものをワクチンといい、その性質の違いから「生ワクチン」と「不活化ワクチン」に分けられます。
1 「生ワクチン」は、病原体(細菌、ウイルス)の毒成分を弱くしたもので生きているワクチンをいいます。ワクチンを接種すると弱くなった病原体が身体の中で増えて免疫が作られるので、実際にその病気にかかったと同じように長期間続く免疫が獲得できます。種類としては次のようなものがあります。
ポリオ、麻疹、風疹、MR(麻疹・風疹混合)、おたふくかぜ、水痘(みずぼうそう)、BCG(結核のワクチン)
2 「不活化ワクチン」とは、病原体(細菌、ウイルス)を殺し、その中から免疫を獲得するために必要な物質を取り出して作ったワクチンです。生ワクチンのような長期間続く免疫は得られず、効果は通常比較的短期間です。そのために、繰り返し接種することが必要となります。また一部のワクチンは、遺伝子工学により製造されています。種類としては次のようなものがあります。
DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風混合)、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)

[3]予防接種スケジュール

感染症情報センター(日本の小児における予防接種スケジュール)

日本小児科学会が推奨するスケジュール はこちら

[4]定期接種

予防接種法で決められている予防接種を、決められた年齢の範囲で接種するものを定期接種といいます。(定期接種年齢)と【標準の接種年齢】は次のように定められています。

1. 三種混合ワクチン(DPT) 1期(3~90ヶ月)
初回3回【3~12ヶ月、20~56日間隔で3回】 追加【初回終了後12~18ヶ月】
二種混合ワクチン(DT) 2期(11~12歳)     【小学校6年生】
2. 不活化ポリオワクチン 4回接種 (3~90ヶ月)   【初回接種(3回):生後3か月から12か月に3回 (20日以上の間隔をおく)、追加接種(1回):初回接種から12か月から18か月後(最低6か月後)に1回】(2013.9.1~変更になり、弱毒生ポリオワクチンは廃止になりました。)(実際に運用されるのは各地方自治体により異なるので、詳しくは保健所等担当部署にご確認ください。)
  • なお、この期間を過ぎた場合でも、生後90か月(7歳半)に至るまでの間であれば、接種ができます。過去に生ポリオワクチンを受けそびれた方も、対象年齢内であれば、不活化ポリオワクチンの定期接種を受けていただくことが可能ですので、接種されることをおすすめします。

  • 2012(平成24)年9月1日の開始時には、全体を通して4回目となる単独不活化ポリオワクチンの追加接種は、定期接種には含まれません。

  • 不活化ポリオワクチン導入前に1回目の生ポリオワクチンを接種した方は、2回目以降は不活化ポリオワクチンを受けることになります。

  • 生ポリオワクチンを受けたことがある場合

  1. 2012(平成24)年8月31日時点で、生ポリオワクチンを1回接種した方は、9月1日以降に、不活化ポリオワクチンを3回接種することになります。
  2. すでに不活化ポリオワクチン1~2回と生ポリオワクチン1回を受けている場合でも(順番問わず)、不活化ポリオワクチンの定期接種を受けられます。
  3. 生ポリオワクチン1回と不活化ポリオワクチンを合計して4回となるよう、残りの不活化ポリオワクチン1~2回を定期接種として受けることが可能です。
  4. 2012(平成24)年9月1日の開始時には、全体を通して4回目となる単独不活化ポリオワクチンの追加接種は、定期接種には含まれません。
  5. 単独の不活化ポリオワクチンを用いた追加接種は、今後、追加接種に関する試験データが整い次第、開始される予定です。
  6. 生ポリオワクチンをすでに2回接種された方は、不活化ポリオワクチンの追加接種は不要です。
不活化ポリオワクチンにおけるQ&Aはこちら
3. 麻疹・風疹混合 (MR)ワクチン
平成18年4月より、麻しん風しん混合(MR)ワクチンが法令に基づく定期予防接種として、生後12ヶ月から24ヶ月児を対象に始まり、更に2回接種(1期、2期)になりました。 平成20年4月には5年間の時限立法で中学校1年と高校3年に相当する年齢で、第2期のMRワクチン接種を受け損ねた年齢層に対する救済措置として、MRワクチン(もしくは麻疹単独、風疹単独)の接種が行われることになりました。
平成23年5月予防接種法施行令の一部改正する政令で、平成23年5月20日から平成24年3月31日までの間、麻しん及び風しんの定期の予防接種の対象者に高校2年生相当の年齢の者が追加されました。(実際に運用されるのは各地方自治体により異なるので、詳しくは保健所等担当部署にご確認ください。)
4.日本脳炎ワクチン
1期(6~90ヶ月)初回2回 【3歳~、6日~28日間隔で2回】 追加 【初回終了後約1年、4歳 ~】
2期(9~12歳)      ? 【小学校4年生】
平成17年5月30日以降、厚労省よりワクチンの積極的勧奨を差し控えてきましたが、平成21年6月2日から新ワクチン「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」が承認を受けたことに伴い、平成22年度は3歳児に積極的に接種勧奨となっています。
平成23年5月20日付で予防接種法施行令が改正され、平成17年以降に日本脳炎の標準的な接種年齢(第1期:3歳~4歳、第2期:9歳)に積極的な勧奨が行われていないと考えられる平成7年6月1日から平成19年4月1日までに生まれたお子さんについては、20歳になるまでの間、日本脳炎の定期予防接種を受けることができるようになりました。
また、平成19年4月2日から平成21年10月1日に生まれたお子さんで、平成22年3月31日以前に、第1期の接種(計3回)を受ける機会を逃した方が、不足分の回数を予防接種法に基づいて接種できるよう、平成22年8月に予防接種実施規則を改正しました。(参照)
接種が可能な対象年齢は、生後6月~90月(7歳6か月)までの方及び9歳以上13歳未満の方です。ただし、実際の運用は各自治体により異なることもありますので詳細は各自治体保健所等へお問い合わせください。
(Q&Aは、このページを参照して下さい。平成23年7月改定)
5.BCG 【 ~6ヶ月】 (平成17年4月以降ツベルクリン反応を行わない直接接種に変更されました)
上記の定期予防接種は必ず受けておきたいものです。(予防接種のスケジュールは、感染症情報センターのこの頁が参考になります)
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参考資料
「予防接種ガイドライン」  2008年度版 「予防接種ガイドライン 2011 年度版」及び「予防接種と子どもの健康 2011年度版」が改訂されました。詳しくはこちら

[5]任意接種

予防接種法で定められていない予防接種(水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib髄膜炎)、子宮頚がんなど)や、定期接種の年齢範囲や接種間隔からはずれて接種する場合を任意接種といいます。任意接種もできるかぎり受けることが望ましいですが、有料となります。
愛知県の一部の市町村において、任意接種の費用補助が平成22年度から開始されています。詳しくは この頁
・平成22年11月に子宮頚がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金を決定し、各市町村で肺炎球菌ワクチン、Hibワクチン、子宮頚がんワクチンにたいする全額または一部補助が始まりました。
・平成23年3月4日、小児用肺炎球菌ワクチン及びヒブワクチンを含む同時接種後の死亡報告で接種の一時的見合わせとなりました。
・平成23年4月1日、専門家の会議で評価を行った結果、安全性上の懸念はないとされたため、接種再開となりました。 (参照)

ロタウイルスワクチン

予防する病気:乳幼児に嘔吐や下痢を起こすロタウイルス胃腸炎を予防します。重症な脱水・脳炎など思い合併症で入院する例もあります。
接種時期と接種回数:飲むタイプの生ワクチンです。生後6週から接種できますが、4週以上の間隔で2回接種のもの(ロタリックス)と、3回接種のもの(ロタテック)があります。
  • ロタリックス(1価ワクチン):4週間隔で2回接種します。遅くとも生後20週(140日)までに1回目、生後24週(168日)までに接種を完了します。生後24週以降は接種することができません。
  • ロタテック(5価ワクチン) :4週間隔で3回接種します。遅くとも生後24週(168日)までに1回目、そして3回目は生後32週(224日)までに接種を完了します。生後32週以降は接種することができません。
これは他のワクチンと異なる点で、腸重積症が起こりにくい低い年齢で接種するのが目的です。
接種スケジュールについて:ロタウイルスワクチンは生ワクチンのため、接種後に4週間以上間隔をあけなければ次のワクチンを接種できません。 この時期はほかにも接種が必要なワクチンが多数ありますので、同時接種がお勧めです。生後2か月になったらヒブ、小児用肺炎球菌などと同時接種で受けることをお勧めします。かかりつけの医師とよくご相談ください。
ワクチンの効果・副反応:ロタウイルスによる嘔吐下痢症を予防、または軽くして、重症例を約90%減らします。従って脳炎などの重い合併症も防ぎます。安全性は多くの調査で極めて高いことが証明されています。そのためにWHO(世界保健機関)は、ロタウイルスワクチンを子どもの最重要ワクチンの一つに指定しました。米国において「初代」のロタウイルスワクチン(ロタシールド)が接種後の腸重積症発生増加のため発売中止になりましたが、現在のワクチンでは、接種時期を守ることで問題なく安全に接種されています。決められた期間内に接種を完了できるようかかりつけの医師とご相談ください。
インフルエンザワクチン
・今シーズンからのインフルエンザワクチンの投与量が変更になりました。長年懸案だった接種量もようやく欧米に近づきました。 (参照)

[6] もうすぐ出てくるワクチン

1.4種混合ワクチン(三種混合+不活化ポリオワクチン)

[7] 副反応はどんな症状か

生ワクチンは生きているワクチンなので、時としてその病気の軽い症状を起こすことがあります。ワクチンの種類により、 発熱、発疹、水疱、ほほの腫れなどが一定期間(潜伏期間)の後に出現してきます。一方、不活化ワクチンでは病気そのものの症状よりも、主として注射部位の発赤やしこりなど局所のアレルギー反応が見られます。
現在のワクチンは改良が重ねられ問題になるような副作用は少なくなりましたが、不幸にも予防接種による強い副反応で健康被害を受けた場合、予防接種法および結核予防法により救済制度が設けられています。また、任意接種によって起きた健康被害に対しては「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法」が適用されます。

[8]どんな状態では接種できないか

予防接種法では、予防接種を受けることのできない子どもを「接種不適当者」として次のように定めています。
1.明らかに発熱のある子ども。(接種時に体温が37.5゜C以上の子どもは接種できません)
2.重篤な急性疾患にかかっている子ども。(医師により病気が治ったと診断されるまで接種できません)
3.接種しようとするワクチン、またはワクチンに含まれている成分でアナフィラキシーを起こしたことのある子ども。(アナフィラキシーとは、急に息苦しくなったり、血圧が低下したりして、救急処置が必要なショック状態になること)
4.子どもには関係ありませんが、妊娠している人は生ワクチンの接種はできません。
5.その他、医師が不適当と判断した場合には接種はできません。
一方、基礎疾患のある子ども、アレルギーのある子ども、けいれんを起こしたことのある子どもなどは、予防接種を受ける時に注意が必要な子ども「接種要注意者」として定められています。そのような子ども達こそ予防接種は必要であり、医師の判断により接種が可能ですので積極的にかかりつけの医師に相談されることをお勧めします。

[9]その他

予防接種のおかげで子どもにとって重大な感染症は少なくとも日本では激減しました。しかし、予防接種をしない子が多くなると感染症は起こる危険はあります。最近は個別接種が原則となってきました。接種は適切な年齢のときに、子どもの身体の状態がいいときに、子どものことをよく理解していただいている「かかりつけ医」にしていただくようにしましょう。
安全性が高くなったとはいえ、病気の元といってもいいものを身体の中に入れることには違いないので予防接種について正しい理解の上ぜひ受けるようにしましょう。
アレルギーや基礎疾患のために通常の接種ができない方は、まずかかりつけの先生とよく相談し、ときには役所や保健所にも相談した上で接種が困難な場合は、下記の予防接種センターなどに相談してください。
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愛知県下の予防接種センター・渡航渡航支援小児科医のいる医療機関

1.トヨタ記念病院/外来棟 海外渡航科/小児科         要予約
豊田市平和町1-65      ?? 電話0565-28-0100
2.名鉄病院 予防接種センター               要予約
西区栄生2-26-11      ???? 電話052-551-6126
3.あいち小児保健医療総合センター 愛知県予防接種センター 要予約
大府市森岡町尾坂田1-2   ??? 電話0562-43-0500
4.名古屋市立東部医療センター東市民病院 小児科      要予約
千種区若水1-2-23      ?? 電話052-721-7171
5.厚生連江南厚生病院 小児科               要予約
江南市高野町大松原137   ??? 電話0587-51-3333
6.大同病院(だいどうクリニック1F) 予防接種センター   要予約
南区白水町9          電話052-611-6265
7.青山病院 小児科                    要予約
瀬戸市南山町1-53     ????? 電話0561-82-1118
8.愛知医科大学病院 ワクチン外来 13:00~16:00 (月・火・金) 要予約
長久手町大字岩作字雁又21 ?? 電話0561-63-1667
9.さかたこどもクリニック 小児科             要予約
一宮市木曽川町里小牧字寺東177 電話0586-87-6822
岡崎市真伝町字続木屋敷5-6 電話0564-28-2400
予防接種に関するリンク集

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