予防接種について

  • 2026年3月29日 1:39 PM

予防接種について 2026.4.1

[1]予防接種はなぜ必要でしょうか

嫌がる子どもを予防接種に連れてゆくのは大変なことです。それでも、予防接種を行うのは二つの意味があるからです。一つは多くの人々が接種を行うことによって、周辺での感染症の流行を防ぐことができるからです。世界的規模での成果としては、種痘の接種を普及させるWHOのプロジェクトで、人類を悩ませ続けてきた痘瘡(天然痘)を1980年に地球上から撲滅できたということがあります。もう一つの意味は、接種した本人がその感染症に対する免疫(抵抗力)を獲得して、病気にかからないかまたは軽くすむことができるということです。

予防接種をしなくても、感染症は自然にかかって免疫をつけた方がいいのではと考える人がいます。しかし、通常は軽いと思われている感染症でも、ときには重い合併症を起こすことがあります。感染症はできるだけ予防接種で予防することが望ましいと考えます。

ワクチンで防げる病気のことをVPDVaccine Preventable Diseases)と呼ばれています。
防げる病気だけでも予防して、大切な子どもたちの命を守りましょう。

[2] 予防接種にはどんなものがありますか

予防接種は病原体を弱く変化させるか、またはその一部を取り出して害にならないものにして、それらを身体に接種して免疫を獲得しようとするものです。身体に接種するものをワクチンといい、その性質の違いから「生ワクチン」と「不活化ワクチン」に分けられます。

1.「生ワクチン」は、病原体(細菌、ウイルス)の毒成分を弱くしたもので生きているワクチンをいいます。ワクチンを接種すると弱くなった病原体が身体の中で増えて免疫が作られるので、実際にその病気にかかったと同じように長期間続く免疫が獲得できます。種類としては次のようなものがあります。

ポリオ・麻疹・風疹・MR(麻疹・風疹混合)・おたふくかぜ・水痘(みずぼうそう)の各ワクチン、BCG(結核のワクチン)、鼻腔噴霧型インフルエンザ生ワクチン

2.「不活化ワクチン」とは、病原体(細菌、ウイルス)を殺し、その中から免疫を獲得するために必要な物質を取り出して作ったワクチンです。生ワクチンのような長期間続く免疫は得られず、効果は通常比較的短期間です。そのために、繰り返し接種することが必要となります。また一部のワクチンは、遺伝子工学により製造されています。種類としては次のようなものがあります。

DPT‐IPV-Hib(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ混合・インフルエンザ菌b型)、日本脳炎、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎、肺炎球菌、RSVワクチン(母体接種)

[3]予防接種スケジュール

日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール

[4]定期接種

予防接種法で決められている予防接種を、決められた年齢の範囲で接種するものを定期接種といいます。(定期接種年齢)と【標準の接種年齢】は次のように定められています。

1. ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・インフルエンザ菌b型 五種混合ワクチン(DPT‐IPV-Hib)(2024年4月~)(2~90ヶ月)

初回3回(2~12カ月、20~56日間隔で3回) 追加(初回終了後6~18か月まで)

2.ジフテリア・破傷風 二種混合ワクチン(DT) 2期(11~12歳)(小学校6年生から中学校1年生頃)

ロタウイルスワクチン(生後4週から24週または32週まで)

  • 乳幼児に嘔吐や下痢を起こすロタウイルス胃腸炎を予防します。重症な脱水・脳炎など思い合併症で入院する例もあります。
  • 飲むタイプの生ワクチンです。生後6週から接種できますが、4週以上の間隔で2回接種のもの(ロタリックス)と、3回接種のもの(ロタテック)があります。
  • ロタリックス(1価ワクチン):4週間隔で2回接種します。遅くとも生後20週(140日)までに1回目、生後24週(168日)までに接種を完了します。生後24週以降は接種することができません。
  • ロタテック (5価ワクチン):4週間隔で3回接種します。遅くとも生後24週(168日)までに1回目、そして3回目は生後32週(224日)までに接種を完了します。生後32週以降は接種することができません。
  • これは他のワクチンと異なる点で、腸重積症が起こりにくい低い年齢で接種するのが目的です。 ロタウイルスワクチンは生ワクチンのため、接種後に4週間以上間隔をあけなければ次のワクチンを接種できません。
  • この時期はほかにも接種が必要なワクチンが多数ありますので、同時接種がお勧めです。生後2か月になったらヒブ、小児用肺炎球菌などと同時接種で受けることをお勧めします。かかりつけの医師とよくご相談ください。
  • ワクチンの効果・副反応:ロタウイルスによる嘔吐下痢症を予防、または軽くして、重症例を約90%減らします。従って脳炎などの重い合併症も防ぎます。安全性は多くの調査で極めて高いことが証明されています。そのためにWHO(世界保健機関)は、ロタウイルスワクチンを子どもの最重要ワクチンの一つに指定しました。米国において「初代」のロタウイルスワクチン(ロタシールド)が接種後の腸重積症発生増加のため発売中止になりましたが、現在のワクチンでは、接種時期を守ることで問題なく安全に接種されています。決められた期間内に接種を完了できるようかかりつけの医師とご相談ください。

4.小児用肺炎球菌ワクチン(原則生後2ヶ月から6ヶ月までに3回接種、一歳台に初回接種終了後60日以上開けて1回接種)

2024年10月1日から小児用結合型肺炎球菌ワクチンは15価から20価にきりかえられました。これにより更に広範囲に肺炎球菌髄膜炎の予防が期待できるようになりました。

初回接種の月齢・年齢 接種回数 接種スケジュール
生後2か月~6か月 4回 1回目から4週以上の間隔で2回目
2回目から4週以上の間隔で3回目
3回目から60日以上の間隔をあけて生後12か月~15か月に4回目
生後7か月~11か月 3回 1回目から4週以上の間隔で2回目
2回目から60日以上の間隔をあけ、1歳代(生後12か月~15か月)で3回目
1歳 2回 1回目から60日以上の間隔で2回目
2~9歳 1回 1回のみ
10歳以上 接種不可

5.B型肝炎ワクチン(原則生後2ヶ月から一歳までに3回接種)

2016年10月1日から1歳に至るまでの乳児(標準は生後2・3・7〜8か月)を対象。
合計3回。1回目から27日以上の間隔をあけて2回目、1回目から139日以上の間隔をあけて3回目を接種します。

6.BCG (3カ月~1歳、標準的な接種は生後5ヵ月から8ヵ月)

  • 平成17年4月以降ツベルクリン反応を行わない直接接種に変更されました。
  • 平成25年4月から予防接種法改正で生後1歳までと接種期間が延長されました。

7.麻疹・風疹混合 (MR)ワクチン(原則1歳から2歳までに1回接種、就学前の一年間に1回)

2006年4月より、麻しん風しん混合(MR)ワクチンが法令に基づく定期予防接種として、生後12ヶ月から24ヶ月児を対象に始まり、更に2回接種(1期、2期)になりました。

8.水痘ワクチン:1歳から3歳になるまでに、6から12ヶ月(最低3か月)あけて2回接種

平成27年度から、2014年10月1日、水痘ワクチンを定期接種となりました。水痘は集団予防を目的とするA類疾病です。

9.日本脳炎ワクチン:生後6ヶ月から90ヶ月までに第一期接種3回(標準的には6〜28日あけて初回接種2回、初回接種終了後6ヶ月以上あけて標準的には1年後に1回)、第二期接種を9歳以上13歳未満で1回

1期(6~90ヶ月)初回2回 (3歳~、6日~28日間隔で2回) 追加 (初回終了後約1年、4歳 ~)

2期(9~12歳)       (小学校4年生)

平成17年5月30日以降、厚労省よりワクチンの積極的勧奨を差し控えてきましたが、平成21年6月2日から新ワクチン「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン」が承認を受けたことに伴い、平成22年度から順次積極的に接種勧奨となっています。

接種が可能な対象年齢は、生後6月~90月(7歳6か月)までの方及び9歳以上13歳未満の方です。ただし、実際の運用は各自治体により異なることもありますので詳細は各自治体保健所等へお問い合わせください。(Q&Aは、このページを参照して下さい。平成23年7月改定)

10.子宮頚がんワクチン(原則、小学6年〜高校1年生相当の女子に15歳未満では6ヶ月空けて2回、15歳以上では初回接種後2ヶ月後と6ヶ月後の計3回)

平成25年4月から予防接種法が改正され、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンとともに子宮頚がんワクチンも定期接種になりました。
その後 平成25(2013)年6月から、積極的な勧奨を一時的に差し控えていましたが、令和3(2021)年11月に、専門家の評価により「HPVワクチンの積極的勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当」とされ、令和4(2022)年4月から、他の定期接種と同様に、個別の勧奨を行っています。
詳細はこちら

令和4年4月 積極的勧奨の再開されました。

令和4(2022)年4月~令和8(2026)年3月の4年間、 積極的勧奨中止の間に接種を逃した方のキャッチアップ接種が行われました。

11.RSウイルスワクチン(妊娠28週0日から36週6日の間に一回)

2026年4月1日から小児重症RSウイルス感染症を予防する目的で、妊婦の定期接種となります。

[5]任意接種

予防接種法で定められていない予防接種(水痘、おたふくかぜ、インフルエンザ、A型肝炎、B型肝炎など)や、定期接種の年齢範囲や接種間隔からはずれて接種する場合を任意接種といいます。任意接種もできるかぎり受けることが望ましいですが、有料となります。

愛知県の一部の市町村において、任意接種の費用補助がなされています。詳しくは この頁(2013年)

1.ムンプスワクチン(おたふくかぜ)

2.インフルエンザワクチン・噴霧型インフルエンザ生ワクチン

3.A型肝炎ワクチン

[6] もうすぐ出てくるワクチン

麻疹・風疹・ムンプス混合 (MMR)ワクチンが製造承認され、市販待ちです。今後定期期接種に採用が討議見通しです。

[7] 副反応はどんな症状か

生ワクチンは生きているワクチンなので、時としてその病気の軽い症状を起こすことがあります。ワクチンの種類により、
発熱、発疹、水疱、ほほの腫れなどが一定期間(潜伏期間)の後に出現してきます。一方、不活化ワクチンでは病気そのものの症状よりも、主として注射部位の発赤やしこりなど局所のアレルギー反応が見られます。

現在のワクチンは改良が重ねられ問題になるような副作用は少なくなりましたが、不幸にも予防接種による強い副反応で健康被害を受けた場合、予防接種法および結核予防法により救済制度が設けられています。また、任意接種によって起きた健康被害に対しては「医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法」が適用されます。

[8]どんな状態では接種できないか

予防接種法では、予防接種を受けることのできない子どもを「接種不適当者」として次のように定めています。

  1. 明らかに発熱のある子ども。(接種時に体温が37.5゜C以上の子どもは接種できません)
  2. 重篤な急性疾患にかかっている子ども。(医師により病気が治ったと診断されるまで接種できません)
  3. 接種しようとするワクチン、またはワクチンに含まれている成分でアナフィラキシーを起こしたことのある子ども。(アナフィラキシーとは、急に息苦しくなったり、血圧が低下したりして、救急処置が必要なショック状態になること)
  4. 子どもには関係ありませんが、妊娠している人は生ワクチンの接種はできません。
  5. その他、医師が不適当と判断した場合には接種はできません。

一方、基礎疾患のある子ども、アレルギーのある子ども、けいれんを起こしたことのある子どもなどは、予防接種を受ける時に注意が必要な子ども「接種要注意者」として定められています。そのような子ども達こそ予防接種は必要であり、医師の判断により接種が可能ですので積極的にかかりつけの医師に相談されることをお勧めします。

[9]その他

予防接種のおかげで子どもにとって重大な感染症は少なくとも日本では激減しました。しかし、予防接種をしない子が多くなると感染症は起こる危険はあります。最近は個別接種が原則となってきました。接種は適切な年齢のときに、子どもの身体の状態がいいときに、子どものことをよく理解していただいている「かかりつけ医」にしていただくようにしましょう。

安全性が高くなったとはいえ、病気の元といってもいいものを身体の中に入れることには違いないので予防接種について正しい理解の上ぜひ受けるようにしましょう。

アレルギーや基礎疾患のために通常の接種ができない方は、まずかかりつけの先生とよく相談し、ときには役所や保健所にも相談した上で接種が困難な場合は、下記の予防接種センターなどに相談してください。

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